この記事は介護福祉士試験の出題範囲の「人間関係と心理」をイラストで解説します。
利用者との関係が悪くなり、悩んだことはありますか?
そうなると、介護福祉職としては仕事にならなくなり大変困ります。
私も、何度か経験があります。
ちょっとした会話のやり取りから利用者がサービスの利用を辞退されたり、忙しさの中で気づけなかったことが原因でご家族を怒らせてしまい、ご自宅に謝罪をしに行ったこともあります。
福祉という仕事は、医療と同じように信用が無くては成り立ちません。信用できない病院には行きたくないですよね?
介護福祉職は信頼構築のために、人間関係について専門的な知識を必要とします。介護福祉士試験にも出題されます。介護福祉職が学ぶ「人間関係の形成」は、以下の2項目あります。
- 人間関係と心理
- コミュニケーションの基礎
この記事では「人間関係の心理」について、わかりやすく解説します。
「人間関係の心理」では、以下のポイントを理解しておきましょう。
- まずは、自分のこころを知ること
- 自分と相手とのあいだで"どのような心理が働いているのか?"
- 利用者と良好な援助関係を築くための7原則
このポイントは、コミュニケーション技術を扱う際の基礎的な知識となっています。難しい内容ではないのですが、実際に身につけることが難しいと思います。
アウトプットすることで身につくので、実践の時に繰り返し意識するようにしましょう。
【まとめに"1枚で覚えられるイラスト"があるので、よかったら画像保存してください】
自分のこころを知る"ジョハリの窓【4つの小さな窓】"
ジョハリの窓とは、アメリカの心理学者、ジョセフ・ルフト氏とハリントン・インガム氏によって1955年に提唱された考え方です。
自分自身のこころを"自分の知っている・知らない部分"と"他人が知っている・知らない部分"に分割して、4つの小さな窓で表しています。
一つ一つの小窓を
- 開放部分
- 盲点部分
- 隠ぺい部分
- 未知部分
と分類して、対人関係・自己理解の分析・進展に利用されます。
この窓を使って、それぞれ縮小したり拡大したりすることで、客観的な自分の姿を修正したり、自分自身のこころを分析したりします。
良好な人間関係を築くために、自分のことについてを相手に知ってもらうことも必要です。これを、自己開示といいます。
介護福祉職であると、利用者と接する時に自己開示をどのタイミングで、どの程度を開示していくかを考えるときにジョハリの窓を利用するといいでしょう。
利用者とのあいだに働く心理
利用者と良好な援助関係を築くための態度として"共感"と"受容"があります。
共感とは、利用者の感情を理解して、その感情に寄り添うことです。
受容とは、利用者の価値観を尊重して、先入観や印象にとらわれずに受け入れることです。
そのような援助者の態度が、心理的な距離を縮めて、信頼し合い、感情の交流が行うことができる状態を生みます。これを、ラポール(信頼関係)といいます。
ラポールの構築には7つの原則があります。
バイステックの7原則
バイステックの7原則とは、アメリカの社会福祉学者フェリックス・P・バイステックが1957年の著書『ケースワークの原則』で記した個別援助技術の原則です。
この原則は良好な"援助関係"を築くための原則であり、バイステックは「"私的な個人間の関係"とは異なる」と述べています。以下が7つの原則です。
- 個別化
- 意図的な感情表出
- 統制された情緒的関与
- 受容
- 非審判的態度
- 自己決定
- 秘密保持
まとめ
介護福祉職は、障害のある人や高齢者を援助する仕事であり、疾患によっては良好な援助関係を上手く築くことが出来ないことがあります。基本的なコミュニケーションの知識と技術が"ある"のと"ない"のとでは、その問題点を説明する事が出来ません。
援助関係が崩れてしまった時に、家族やケアマネージャーなどの関係者へ理解を求める必要があるので、是非この人間関係の形成への理解を深めるようにしておきたいところです。
また、介護福祉職は問題の状況を誤って判断する事の無いように、自分の価値観、感情などについて客観的に理解する能力が必要です。これを自己覚知といいます。
良好な援助関係を形成するには、自分自身をコントロールする事も重要なのです。
続きは、「人間関係の形成」2回目の"コミュニケーションの基礎"になります。